前編では「施工業者選定」までの概要を述べてきました。
今回は実務的な観点から、工事完了引き渡しまでの事を分かり易くまとめました。
店舗内装の流れは、以下のような具体的な手順で進められることが一般的です。
■■コンセプト創り■■
店舗内装を始める前に、まずはコンセプトを確立します。
コンセプトは、店舗のイメージやテーマを明確化し、デザインや装飾の方向性を決めるための非常に重要な要素です。
■お店のテーマは
■何を提供するか
■どういう客層に来てもらいたいか
■どういう雰囲気にしたいか
■デザインモチーフ
この様な事をまとめていき、コンセプトを創っていきます。
出店場所が決まっている場合は、上記5ポイントを出店場所に合わせて創り込んでいく事が重要です。
■■出店場所の選定■■
コンセプトによって最適な場所は変わります。
高校生向けのファッションのお店を「巣鴨地蔵通り商店街」に出してもお客様は来ないでしょう。
出店場所とコンセプトは密接に絡み合っています。
コンセプトに合った出店場所を選定しましょう。
■■設計者の選定■■
設計者によってコンセプトの解釈や表現方法、デザイン、店づくりの考え方等が違います。
選定は難しいと思いますが、お店作りの方向性に大きく影響する事をかんがえ、慎重に選定しましょう。
■ヒヤリングによる設計者の考え方や人柄、相性などを把握
■実績写真や進行中の現場(あれば)の確認
■図面やパースなど、設計時点の表現について確認
※場所が決まっていれば現地確認と基本設計をしてもらうのも良い
コンセプトが未確定であれば、コンセプト創りから参画してもらってもいいと思います。
ピッタリな設計者を選定するのは難しい事もあると思いますが、非常に重要です。
■■プランニングとデザイン■■:
出店場所の選定とコンセプト創りが出来たら、プランニング・デザインに入ります。
ここでは具体的に店舗のレイアウトや間取り、デザインの要素を計画します。
デザイナーや建築士と協力し、店舗の目的や需要に合わせた最適なデザインを構築します。
■コンセプトに合ったデザインになっているか
■提供するものに合ったレイアウトになっているか
■動線はオペレーションに合っているか
■外観は他店舗や街並みに埋もれてしまっていないか(路面店の場合)
■搬入出経路、バックヤードが考慮されているか
こういったことを一つ一つクリアし、理想のお店に近づけましょう。
■■予算の設定■■
出店までにかかる総予算を把握し、適切に振り分け、内装にかけられる金額をしっかり把握しましょう。
予算は非常に重要な要素で、予算によって理想をどこまで実現できるかが左右されますし、コンセプトやプランニングに影響があります。
また、仕上がりの品質にも影響しますので、絞り過ぎは禁物です。
前編でご紹介した単価の目安金額を参考にして頂ければ、予算枠を想定できると思います。
無理のない範囲で最も効果的な予算設定しましょう。
■■オープン日の設定■■
オープン日を設定し、全体工程を決めていきます。
オープンからの逆算して工程を組んでいき、無理があったら調整して、実行可能な工程を作りましょう。
オープン前のトレーニング期間、プレオープン、セッティング等のオペレーション確認の時間も取るようにしましょう。
また、各種申請及び検査が必要な場合、それも考慮しましょう。
その上で、工事工程を入れ、着工日を決定していきます。
このプロセスを飛ばすと、オープン日時に間に合わないという結果になる可能性がありますので、要注意です。
■■工事業者確定■■
プランニング、予算、オープン日が決まったら、施工業者を確定します。
設計事務所、店舗内装専門業者、工務店等、前編で紹介した特徴を理解し、最適な施工会社を選定します。
見積依頼業者には現地確認をしてもらう事が重要で、それにより、同条件での比較検討ができ、業者選定の参考にもなります。
■予算内で要望したことができるか
■工事工程を尊寿する会社か
■設計意図やデザインコンセプトを理解しているか
■同種の店舗の実績があり、慣れているか
■許可証の有無やライセンスの確認、保険の加入等も要チェックです
3~5社程度に見積依頼をして、提示金額や提案内容等を比較したうえで選定する事をお勧めします
依頼業者数が多すぎるとかえって選定が難しくなりますので、要注意です
■■工事工程作成■■
全体工程が決まったら次に工事工程を確定します
これは、選定した施工業者に厳守させるため、施工業者に詳細な工程を作成してもらいましょう。
注意事項は
■工事着工日及び工事完了日の設定
■設備関係の納期や入荷日を考慮した発注期限の設定
■各工事項目の工事日数と他工種との調整
この様になります。
■■施工から引き渡しまで■■
■内装工事
内装工事は、壁や床の仕上げ、電気配線、照明の設置、空調システムの設置、カウンターや棚の取り付けなど、様々な工程を含みます。
各業者が協力し合い、現場管理者の指示のもと工程を厳守し、品質と安全性を確保しながら工事を進めます。
仕上の品質、傷の有無、養生の状況等、仕上がりに関することのほか、安全管理、工程管理、近隣との関係、その他現場管理者によってかなりの差がありますので、工事中はポイント毎に確認することをお勧めします。
進捗確認はもとより、品質の確認や施工業者の動きや現場がきれいかどうかなど、様々な事が確認出来ると思います。
■最終仕上げ
最終仕上げ段階では、床や窓、家具などを清掃し、仕上げのタッチアップ、照明やエアコンなどの設備の試運転や点検も行い、問題がないことを確認します。
そして、現場管理者が施主検査前に無事お引渡し出来るよう、自主検査を実施します。
■施主による検査
引渡し前の施主最終確認として、施主の検査を受けます。
品質、デザイン、仕様が要件に適合しているかを確認し、必要に応じて修正や改善を行います。
厳しい目で細かくチェックし、合否判定してください。
この時点までは現場管理者が責任もって管理しますが、この検査終了後、引き渡しが終わってからは施主が主体となります。
■家具や装飾品の配置
家具や装飾品を配置します。陳列棚やテーブル、椅子などの家具を配置し、アートワークや看板、ポスターなどの装飾品を設置します。これにより、店舗の雰囲気やブランドイメージが醸成されます。
以上が一般的な店舗内装の流れです。ただし、プロジェクトの規模や要件によっては、手順や順序が異なる場合もあります。
次回からは更に具体的に、各項目を開設していきます。
ご期待ください。