しばらく間が空きましたが、今回は「店舗内装工事のポイント」について解説していきます。
具体的な事については各物件毎に様々なため、ここでは守るべきポイントについて述べていきます。
実施設計段階で「デザイン」「仕様」「品質」「メンテナンス性」等が検討され、決定しますので、あとは作るだけ!と簡単には行きません。
施工段階では施工会社にバトンタッチされるわけではありません。
施主・設計者・施工会社の共同作業になります。
ここではそれを踏まえた解説をしていきます。
■工期の決定
店舗のプロジェクトは、オープンの時期がスタート時から決められている事が殆どです。
設計段階で大まかな工程の目論見は作りますが、材料や工法その他明確になるのは実施設計段階になるので、着工前にオープン予定日からオープン準備期間を差引いた日程が「竣工引渡し日」となります。
着工日から追いかけていく考え方ではほぼ確実に予定オーバーの工程になってしまうので、竣工引渡し日を設定し、逆算していく考え方で工程を組みましょう。
また、保健所の検査等が必要となる店舗の場合は、その事も織り込んだ工程を作るようにしましょう。
■近隣への対応
工事期間中は近隣トラブルを避けるため、必ず近隣挨拶を着工前に行いましょう。
工事期間、工事内容、安全対策、責任者の連絡先、請負会社等を明記した書類を以て回るようにしましょう。
近隣との良好な関係は、工事しやすさやだけではなく、オープン以降の施主と近隣の関係も左右します。
■車両関係の対応
工事関係の車両が「交通の妨げ」「事故の原因」「近隣トラブル」にならないよう、駐車場確保や一時駐車時の安全確保、駐車しての作業の場合の安全管理、一定期間道路を使用する場合の道路使用や道路占有の許可は怠らない用紙しましょう。
■定例会議の開催
工事が短期(数日程度)の場合を除き、施主・設計・工事責任者による会議を行い、現状確認や変更の有無、工程、問題の有無、材料確認等、「決めごとの確認」「情報の共有や調整」「工程の把握」「問題に対する対応法決定」等を行います。
ここでの内容は必ず議事録に残し、共有しましょう。何かが起きた時の対応の根拠にもなるため、非常に重要です。
■変更に対する対応
施工中の変更は時折発生しますが、対応を間違えると大変な事になります。
変更の発生原因は
- 設計段階での見落としや検討不足
- 既存解体前に見えなかった部分や想定出来なかった事が発生した場合
- 施主様の要望による変更
大きくこの3点になります。
注意すべきは金額の変更が生じる場合です。
- 商品発注後返品が出来ない場合
- 現場施工後で予定外工事が発生した場合
- 商品変更による差額が生じた場合
- 前出3項目により工期延長や手間の増大や手戻りなどの施工上の問題が発生した場合
が挙げられます。
変更前に見積と納期と工期を確認し、合意を得てから変更を決定し、書類にて共有をしたうえで実行に移るようにしましょう。
このプロセスを省いて進めてしまうと、必ずと言っていいほど後々トラブルが発生し、オープン日程にも悪影響が出ます。
手間がかかりますが、その手間を惜しまず丁寧に対応しましょう。
■各種検査の実施
ここでいう検査は役所等の検査ではなく、「自主検査」「施主検査」「設計検査」の事です。
施工図通りに出来ているか、指定された材料を使っているか、変更箇所がある場合はきちんと変更がされているか、品質はどうか、機能に問題は無いかなどなど、後で後悔しないためにも、厳しい目で検査をしてください。
以上の事を踏まえ、着工から竣工引渡しまでの店舗内装工事を進めていきます。
これらは、各立場の関係者すべてが納得し、満足するために必要なプロセスです。
◎施工側としては、責任もって工事を行い、満足のいく品質を提供するため。
◎設計者としては、施主様との約束事を実現し、要望通りの空間を提供するため。
◎施主様としては、満足できて将来の展望が開ける店舗空間を実現するため。
それぞれの立場で店舗内装工事に関わる事が非常に重要です。
この「店舗内装の実務」シリーズは今回を以て完結になります。
全5回にわたり、店舗内装の実務に関する解説をしてまいりましたが、いかがだったでしょうか。
皆様のお店創りに欠かせない「店舗内装」のお役に立てて頂ければ幸いです。
これまで5回シリーズを見て頂き、誠にありがとうございました。
今後別のシリーズも随時スタートしますので、そちらももしよければのぞいてみてください。
それではまた。。。